2009/09/01

インターネットで「さらし」を購入



 インターネットがありがたいなぁと実感するのは、マイナーな商品を注文するときや、自分で車を運転して買いにいけなくても好きな商品を選んで購入できるときだ。母の休日のときに、タイミングを見て、本屋さんに乗せていって欲しいなんて頼もうかな、と思うけれどせっかくの休日を邪魔されて機嫌が悪くなりそうなときはインターネットでスマートに注文できる。
 母はおよそ30年前に「さらし」で私のおしめを作っていたそうだが、私の時代に「さらし」なんて存続しているのだろうか、と子供の頃思ったものだ。でも、インターネットで検索すると、ちゃんとおしめ派の人間がいて、おしめの布をごしごし洗っている人たちがいる。少数派かもしれないけれど、紙おむつにないすぐれたところがあるものは、ちゃんと生き残っているのだ。「さらし」っていう言葉もちゃんと残っていて、検索すれば商品がでてくる。お店でも密かに売られていて、プラントというホームセンターでマタニティーコーナーを見に行ったところ、ガーゼかさらしの中間みたいなものだけれどちゃんと売られていた。ギフト用の模様の入ったできあいの布おしめも売られている。世の中にはまだおしめというものが生き残っているのだと感動した。
 インターネットでさらしを購入するのを決めたのは、納得のいく「さらし」が購入できなかったからだ。母が探したところ、富山市のドラックフジイに1つだけ「さらし」が売っていたそうだ。ガーゼみたいなものではなくて、私のおしめをつくったときのような丈夫な「さらし」だったそうだ。けれど、その1つきりしかなくてお店の人に聞いても在庫もなさそうな雰囲気だということだ。私が欲しいのは、私のおしめを作ったときのような、丈夫なしっかりした「さらし」なのだ。
 インターネットで検索したところ、「さらし」はいくつかでてくるけれどなかなか手にとってみることができないのがインターネットのつらいところ。プラントでみたようなガーゼみたいなさらしは嫌だけれど、手にとって調べられないので仕方がない。いろいろ調べていると、和風の昔風の紙が入ったさらしの映像があって、安いガーゼみたいなさらしとは違います、と書いてある。他にもさらしやふんどし、足袋などマイナーと商品を専門に売っているようだ。それでも本当に私が欲しいと思っているような、「さらし」かどうかまだ慎重に調べる。
 調べていくうちに会員価格というものがあることがわかって、それだとびっくりするぐらい安いのだ。こんなに安く買ってしまっては申し訳ないぐらい。でもだんだん主婦になりつつある私は、紙おむつと布おしめを比較するようになっていって、布おしめの方がだんぜん安いと安心していたけれど、最近の紙おむつは安くて枚数が多くて、布おしめも頑張らなくてはいけないと思うようになったからだ。なんだって、おむつは1反(約9m)から6枚作れたからおむつというそうなのだ。おしめは1日に10枚替えるとして、10日分用意するとしたら100枚必要になって、とてもたくさんの「さらし」が必要になってしまう。私のときに使っていたさらしのあまり布もあんなにたくさんあったのに、あっという間に18枚のおしめに変身してしまっていて、きれいにたたまれて澄ましている。私は「さらし」を買わなくてもいいと思うぐらいにたくさんあったのだ。
 だんだんシビアになっていった私は、会員価格の「さらし」を購入することに決める。特選の竹を3反、特選の月を4反購入する。ここのお店は返品ができないとなっていたから、よそにしようかとも大いに悩んだ。母にも相談していて、品物はガーゼみたいな安物でなくてしっかりしていて、しかも会員価格で買うととても安いけれど、どこかの倉庫にあったものなのかもしなくて古いのかもしれなくて、返品ができないのだけれど購入しようかどうしようかと話していた。母は、今どきさらしを作っていないかもしれないし、古いものの方がいいのじゃないということになった。「さらし」という一風変わった商品を扱うだけに、「さらし」のことを良く知らない人が返品したいということもあるのかもしれない。
 そして、注文した「さらし」は無事私の手元に届く。ダンボールを開けると、埃をかぶったさらしではなくて、きれいな「さらし」だった。祖母の時代に売られていたような、品質のしっかりした「さらし」だった。おそらくは、祖母が母が出産のときに選んだような、安物でないしっかりした「さらし」だった。なんだかタイムスリップしたみたな不思議な気持ちだ。なぜかマイナーな存在にされてしまっている「さらし」だが、おそらくは祖母の時代にはもっと堂々と胸を張って誇らしく構えていたんじゃないかと思う。私の購入した「さらし」は、ちっとも恥ずかしくなく、ダンボールの中で堂々と胸を張って誇らしく光っている。

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